◎4階 えほんのへや
8月も半ばを過ぎ、そろそろ夏休みの終わりが見えてきました。
新学期を前に、ちょっぴりドキドキしている子もいるかもしれません。
そんな今、こんな絵本はいかがでしょう。
物語は、こんな言葉から始まります。
がまんしたいけど むりなんです。
めが きいんと あつくなってなみだが ゆわんと こぼれます
(P.2〜4 本文より)
つーぽとん つーぽとん
なきこちゃんが泣いています。
しく しく しく しく
えーん えーん えーん えーん
大粒の涙はどんどん床にたまり、ベッドがぷかぷか浮かびはじめます。
うわああーん うわああーん
うわああーん うわああーん
とうとう、なきこちゃんはベッドと一緒に家の外へ。
そこには、広い広い涙の海ができていました。
ひとりぼっちで漂う、なきこちゃん。
しくしく ざざーん
しくしく ざざーん
しょっぱい風が吹いています。
なきこちゃんが、たゆたゆ流れていくと、水平線の向こうから何かがやってきました。
鳥や魚たちが声をかけますが、なきこちゃんの涙は止まりません。
そして最後にクジラがやってくると、なきこちゃんは今まででいちばん大きな声で泣きました。
なきこちゃんは、どうして泣いているのでしょう?
大人は泣いている子を見ると、「どうしたのかな?」と原因を突き止め、なんとか泣き止ませようとします。
でも、泣くことはいけないことなのでしょうか。
この絵本を読むと、そんなことを思います。
前の見返しに描かれた揺れる線は、後ろの見返しでは、すっきりとした直線に。
たくさん泣いたからこそ、少しずつ気持ちが整っていく。
読み終えたあとには、なきこちゃんと一緒に、ゆっくり立ち上がれるような一冊です。
<プロフィール>
絵本のつなぎて ふわはね(内田祐子)
絵本を描く人作る人読む人読んでもらう人を繋ぎたいと関西を中心に活動を続ける。絵本で作る扉や広がる世界を楽しもうと絵本の紹介や絵本がある暮らし、親子の時間が楽しくなる発信をと綴るインスタグラムは子育て中のお母さんや幼児教育に携わる先生方に支持される。